「FF式ストーブ」とは?しくみやメリットをゼロから解説!煙突式との比較も!

暖房のしくみ

今回は雪国に欠かせないFF式ストーブ(FF式石油暖房機)」について解説します!

FF式ストーブの仕組みについて解説し、「そもそもFF式ってなに?」「どんなメリットがあるの?」といったよくあるギモンにゼロから答えていきます。

石油ストーブの欠点は「部屋の空気を汚すこと」

はじめに、一般的な石油ストーブについておさらいしておきましょう。

トヨトミのFFストーブ

石油を燃やすには酸素が必要です。そして、石油を燃やすと必ず排ガスが出ます。

通常の石油ファンヒーターや石油ストーブは「開放式」と呼ばれ、発生した燃焼ガスは室内の空気中に放出されます。

排ガスには二酸化炭素のほか、ススやオイルミストが含まれています。これらは人体に有害なだけでなく、ニオイの原因にもなります。

雪国では暖房を24時間つけっぱなしにすることも少なくありません。

このため、石油ストーブの使用中は、換気を行わなくてはなりません!

FF式ストーブとは?部屋の空気を汚さずに暖房できる

こうした問題を解決してくれるのが、FF式ストーブです。

FF式ストーブとは、室外から燃焼用空気を取り入れ、排気ガスを室外に排出することができる暖房機のことです。

FF式ストーブの仕組み

燃焼に外気を利用するため、室内の空気を汚さずに暖房ができます。

FF式の暖房機は、設置する際に工事が必要です。壁に穴を開けて、「給排気筒」という管を室外に設置します。

FFストーブの給排気筒

吸排気筒はいわば「小さな煙突」です。

壁側にあるスキマから空気を吸い込み、燃焼によって生じた排気ガスは給排気筒の先端から排出します。

壁側にあるスキマから外の空気を吸い込んで、燃焼に使う。排気ガスは給排気筒の先端から排出する。

給排気筒には吸気口も装備されており、燃焼用の空気を室外から取り込むこともできます。

給排気筒の室内側には、排気と給気用のホースがつながれています。

室内に設置したストーブと吸排気筒を接続することで、換気をしなくても、室内の空気を一切汚さずに暖房を行うことができます

FFストーブの背面
給排気筒とFFストーブをホースに接続することで、室内の空気を汚さず暖房が可能です。
給湯器の「FF式」も同じ意味です

FF式とは、Forced Draught Balanced Flueの略です。「強制給排気方式」のことを意味します。

暖房のみならず、給湯器や熱源機(ボイラー)でもFF式を採用した製品が普及しています。これらもFF式ストーブ同様、給排気筒を用いて外気で燃焼を行うため、室内の空気を一切汚しません。

FFストーブのしくみ

ここからはより具体的に、FFストーブのしくみを見てみましょう。

① FFストーブをONすると、ストーブ内部のファンが起動し、吸排気筒から外気を取り込みます。

FFストーブには室内に温風を送るためのファンとは別に、燃焼用空気を送るためのファンが搭載されています。独立したファンで稼働することで、燃焼用空気が室内に送られることがないようになっています。

② 吸い込んだ空気は給気パイプを通り、FFストーブ内部の燃焼室(バーナー)に送られ、石油を燃やすときの酸素の供給に使われます。

③ そして、燃焼後に発生したガスはファンで、排気管に送られます。最終的に吸排気筒のてっぺんにある排気口から室外に排気されます。

いずれも室内の空気が介在していないのがポイントです。

燃焼室は完全に密閉されており、給排気筒とだけつながれています。これにより、室内の空気を一切汚さずに暖房をすることができます。

FFストーブは冬の結露対策にも有効!

FFストーブは空気が汚れないだけではなく、冬の湿気や結露を防ぐ効果もあります。

冬に閉め切った部屋で石油ストーブをつけると、結露したことはありませんか?

これは石油を燃やしたときに水分が発生し、それが部屋内にこもってしまうことによって起こります。

FF式ストーブなら、発生した湿気も吸排気筒から外に排出されますので、暖房中に湿度が上がりすぎることはありません。

ニオイの心配もなく、快適に使うことができます。

煙突式ストーブとの違いは?どちらも空気は汚さないが一部違いあり

煙突式ストーブとは以下の点が異なります。

  1. FF式は煙突が不要
  2. FF式は外気を取り込むが、煙突式(FE式)は室内の空気で燃焼する

まず、当然ながら煙突式ストーブは煙突が必要です。

煙突式ストーブの仕組み

室内から室外にかけて、太い煙突を設置する必要があり、ストーブの配置場所などに大きな制約が生じます。

一方で、FF式は小さな給排気筒を設置すればよく、煙突が不要になります。設置の自由度を考えると、FF式のほうが圧倒的にスマートな選択といえます。

また、FF式と煙突式では、燃焼に使う空気にも違いがあります。

FF式は吸排気筒を経由して屋外から燃焼用の空気を取り込みます。一方、煙突式は燃焼用の空気を室内から取り込みます。

FF式ストーブの仕組み

FF式も煙突式も、燃焼後のガスは室外に排出されます。なので、ガスが室内にたまるようなことはありません。

しかし、煙突式は燃焼用の空気を室内から吸い込むため、必ず部屋に換気口を設ける必要があります。(煙突から出て行く分の空気を部屋に取り入れないといけないのです。意図的に取り入れない場合は隙間風という形で自然に取り込まれますが、室内が寒くなってしまいます。)

FF式は積雪に注意が必要!

ここまで聞くとFF式のメリットが勝っていることがおわかり頂けるかと思います。

しかし一つだけ注意しないといけないのが、給排気筒の閉塞です。

給排気筒は、燃焼用空気の出入り口となります。常に外気に開放されていないと、ストーブの燃焼に異常をきたします。

寒冷地では雪などで給排気筒が埋まってしまうことがあり、注意が必要です。一酸化炭素中毒原因となります

施工業者にとっては常識ですが、積雪が多い地域では、給排気筒を天井付近など高い位置に設置するなど対策を講じる必要があります。

積雪や家屋の形状によっては、煙突式のほうが適している場合もありますので、設置する際は経験が豊富な業者さんに相談してみてください。

FF式ストーブの代表的なメーカーは?

FF式ストーブの代表的なメーカーとしては、次の3社があげられます。

  • 株式会社コロナ
  • 株式会社トヨトミ
  • 株式会社長府製作所(旧「サンポット」)

地域にもよりますが、コロナとサンポットが有名ではないでしょうか。

コロナ」は石油ファンヒーターのトップメーカーです。FF式のほか、煙突式も長年製造しており、寒冷地用大型ストーブに定評があります。

また、岩手県に本社を置く「サンポット」も非常に有名です。

2022年、給湯器メーカーの「長府製作所」に買収・合併され、現在はCHOFUブランドの製品として販売されています。

関東地方の方はご存じないかも知れませんが、サンポットはTVCMもやっているほど有名なストーブメーカーです。

ほかにも、施設向けの大型FF式暖房機を製造しているメーカーとしては、

  • 三菱重工(旧「クサカベ暖房機」)
  • ネポン株式会社

が有名どころでしょうか。

「クサカベ」は大型施設向けのFF式暖房機を製造している代表的なメーカーでしたが、現在は三菱重工に買収されています。

「ネポン」は農業用暖房機を製造しているメーカーで、ビニールハウス向けの製品も数多くラインナップしています。

以前はダイキンや日立といったエアコンメーカーも大型のFF式暖房機を製造していましたが、現在は撤退しています。重工業大手のIHIもかつては工場向けの暖房機を製造していましたが、撤退しました。

まとめ

今回はFFストーブについて解説してみました。

室内の空気を汚さずに暖房ができるFF式ストーブは、寒冷地で当たり前のように使用されています。

最近はエアコンの暖房性能も向上してきましたが、お住まいの気候によっては霜取りが頻発したりして、十分な暖房性能が発揮できないことも少なくありません。

その点、FFストーブなどの石油暖房は天候に左右されず安定して暖房ができるので、今でも重宝されています。

なお、FF式ストーブは標準使用期間が8年間です。

年式が古いFFストーブを使い続けることは大変危険です。必ず点検を行ったり、必要に応じて買い換えるようにしましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました