
今回はダイキン工業の「うるるとさらら」シリーズなど、加湿ができるエアコンについて解説していきます。
例えば、ダイキンの「うるるとさらら」Rシリーズは、給水不要で暖房時に加湿できる機能が搭載されています。
しかし、本当に給水不要で加湿することができるのでしょうか?そんな疑問を持つ方もいるかもしれません。
そこで当記事では、ダイキン工業の「うるるとさらら」など、加湿機能付きエアコンのしくみと購入する上での注意点についてまとめていきます。
画像引用:ダイキン工業ホームページより
結論:ちゃんと加湿するなら「加湿器」を買った方がよい!
結論から言うと、加湿機能がないふつうのエアコンと加湿器を併用するほうがおすすめです。
ダイキンの「うるるとさらら」のような加湿機能付きエアコンはたしかに便利です。
しかし、一般的な加湿器と比較すると、加湿能力が低く、加湿効率もいまいちです。
加湿機能のない通常のエアコンと普通の加湿器を併用するのがおすすめです。
加湿機能付きエアコン(うるるとさらら)がイマイチな理由
加湿機能つきエアコンのデメリットを解説します。
加湿性能が低いうえ、屋外の湿度に左右される
まず、加湿性能の低さがあげられます。
「うるるとさらら」などの加湿機能付きエアコンは、室外機で屋外の湿気を吸収し、吸収した湿気を室内機から放出するしくみで加湿を行います。

屋外の湿度が低いと、取り込める湿気も減るため、加湿性能が低下します。
実際に仕様表を見てみましょう。下の表はダイキン工業製加湿機能つきエアコン「うるさらX」(2025年Rシリーズ)の加湿性能を記したものです。
Rシリーズ 「うるさらX」 加湿 | ルームエアコン | ダイキン工業株式会社
電源 加湿量 加湿単独運転時の最大消費電力 9.0kW 1,030ml/h 1.70kWh 8.0kW~4.0kW(200V) 950ml/h 1.58kWh 4.0kW(100V)~3.6kw 630ml/h 0.92kWh 2.8kW 620ml/h 0.91kWh 2.5kW 620ml/h 0.91kWh 2.2kW 600ml/h 0.90kWh
2.2kW(6畳用)の小型モデルでも600ml/hもの加湿量があると記載されていますが、測定条件は以下の通りです。
加湿能力測定条件
外気温度7℃、湿度87%(JIS定格暖房能力測定条件)、室内温度20℃、ホース長4m
「外気湿度87%」という高湿度下で測定されていることがわかります。
外気湿度87%という条件は、秋であれば雨天時、冬であれば積雪が見られているようなときを指します。
考えてみてください。雨の日に加湿器を入れる状況がどれだけあるでしょうか。だいたいのケースでは、外気が乾燥しているときに加湿を使用すると思います。
うるさらXの場合、外気湿度10%低下につき、10%加湿量は低下します。つまり、外気湿度が40%であれば、カタログ値の半分程度の300ml/h程度(6畳用モデルの場合)まで加湿性能が下がってしまいます。
つまり、外の空気が乾燥していて、いざ本当に加湿したいときに、十分な加湿性能が得られない可能性が高いことが分かります。
通常の加湿器のような安定した加湿性能は期待しないほうがよいです。
加湿中は消費電力が高くなる
加湿中に消費電力が増加するのもデメリットです。

「うるるとさらら」などの加湿機能付きエアコンでは、室外機で吸収した湿気を室内に送る際、電気ヒーターの熱を利用しています。このため、加湿中は消費電力が増加します。
たしかに給水不要で加湿できるのは便利ですが、市販されている加湿器で湿度を管理した方が、結果的にコストは低くなることが多いです。
そもそも取り付けできないケースもあります
そもそも取り付けができないケースも多々あります。
加湿機能付きエアコンでは、室外機と室内機を「加湿ホース」という専用ホースでつなぐ必要があります。
通常、エアコンの室外機と室内機は2本の配管で接続しますが、加湿機能付きエアコンではつなぐホースが1本多くなります。
このため、通常のエアコン取り付け穴では、口径が足らず、配管を通せない場合があります。
また、室外機上部に加湿ユニットが装備されるため、室外機も大型化してしまいます。室外機の取り付けスペースにも配慮しなくてはなりません。
結果的に「注文したはいいけど、取り付けできない」「穴開けなど大がかりな工事が必要になる」といったケースもあります。
まとめ:「ふつうのエアコン+加湿器」のほうが断然おすすめ!
ちゃんと加湿したいなら、素直に加湿器を買いましょう!
そのほうが幸せになれます。

誤解を避けるため一応書いておきますと、
ダイキンのエアコンは非常に性能がよく大変おすすめです。
でも、うるさらXの加湿機能はあくまで「おまけ」として考えましょう。価格を考慮しても、積極的に選ぶ必要はないと思います。
※個人的にはうるさらXから加湿機能を除いた「Aシリーズ」がおすすめです。
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