大型空調や産業分野で使われる「冷却塔」「クーリングタワー」について解説していきます!
「冷却塔ってどんな機械?」「何のために使うの?」といったギモンに答えていきます!
- 冷却塔・クーリングタワーのしくみ
- 冷却塔・クーリングタワーの用途
- 気化熱とは?冷却塔は気化熱を利用している
- 冷却塔の種類(角形と丸側、密閉式冷却塔とは)
- 冷却塔のおもなメーカー
- ラジエーターとの違いは?
冷却塔とは? 機械から出た冷却水を冷やしてくれる!
冷却塔とは、「機械から発生した温水に風を当てて、冷やしてくれる装置のこと」をいいます。

こちらが実際の冷却塔の写真です。大型商業施設の屋上や工場などで、一度は見たことがあるのではないでしょうか?

こちらも冷却塔の写真です。最初の写真より小型の冷却塔ですが、丸形の冷却塔もあります。
「冷却塔」と「クーリングタワー」は同じ意味です。当記事では「冷却塔」で表記を統一します。
冷却塔の用途とは?なぜ冷却塔が使われるのか?
冷却塔は「水冷式」の機械から出た冷却水を冷やすために用いられます。
大型空調や産業機械の世界では「水冷式」といって、水で冷やす必要のある機械がたくさんあります。
風を当てて、空気で直接冷やす方式を「空冷式」といいます。例えば、家庭用のエアコンは室外機のファンで風を当てて、直接空気中に熱を逃がしています。こういう機械は空冷式です。

しかし、大型の機械は発熱量が多く、風を当てるだけでは十分冷却することができないことがあります。空冷では放熱しきれない大型の設備では、水を使って冷やす「水冷式」が採用されます。
冷却に使われた水は、機械から発生した熱を吸収し、温度が上昇します。それを冷却塔で冷やすことで、繰り返し冷却水を使用できるようにします。これが冷却塔を使う目的です。
冷却塔のしくみ 構造は意外とシンプル!
冷却塔の仕組みは、基本的に「冷却水に風を当てているだけ」です。

冷却塔の上部にはファンが付いています。ファンを回すことで、冷却塔の内部に風の流れを作り出します。
そして、機械から出た暖まった冷却水を冷却塔の内部に散水します。

すると、撒かれた冷却水に風が当たり、冷却水を冷やすことができます。

熱いスープを「ふーふー」して冷ますのと同じです。
冷却塔は気化熱を利用して、冷却水を強力に冷やす!
では、なぜ風を当てるだけで冷却水を冷やすことができるのでしょうか?
単に涼しい風を当てて冷やしているというだけではありません。
冷却塔は気化熱を利用して冷やしています!
水には、蒸発するときに熱を奪う(=冷える)という性質があります。奪われる熱のことを「気化熱」といいます。

水は蒸発して大気中に消えていくとき、一緒に熱を連れていってくれます。
お風呂上がりなど、体が濡れた状態で風を受けると、寒く感じますよね。それは、風の影響で体についた水が蒸発し、気化熱として熱が逃げていくからです。

打ち水も同じ原理です。撒いた水が蒸発するときに周囲の熱を奪ってくれるため、温度が下がります。

冷却塔も気化熱を利用して、冷却水を冷やしています。
冷却塔では、暖まった水に風を当てることで、冷却水を蒸発させます。すると、蒸発するときに気化熱が生じて、冷却水の温度が下がります。
気化熱を利用することで、効率よく冷却を行えるのがポイントです。
「冷却塔」に似たものとして「ラジエーター」があります。
ラジエーターは非常用発電機やコージェネレーションのエンジン冷却水の冷却に使われることが多いです。
| 冷却塔 | ラジエーター | |
|---|---|---|
| しくみ | 冷却水に直接風を当てて蒸発させ、気化熱で冷やす。 | 管の中に冷却水を通し、間接的に風を当てる。クルマのラジエーターと一緒。 |
| メリット | 気化熱を使うので、冷却性能が高い。 | クーラント・不凍液など蒸発させられない液体の冷却に使える。 |
| おもな用途 | 空調 | エンジン冷却水の冷却 エンジン発電機やコージェネレーションの冷却 |
仕組み上の違いは「冷却水を蒸発させるか、させないか」です。冷却塔は冷却水を蒸発させ、気化熱で冷やします。対してラジエーターは、熱交換器の管の中に冷却水を通し、風を当てて冷やします。
冷却塔の種類:「丸形と角形」「開放式と密閉式冷却塔」
ここからは冷却塔の種類について解説してきます。
冷却塔の種類は、おもに「形状」と「外気と接するか否か」の2つから分けることができます。
①形状の違い(角形冷却塔・丸形冷却塔)
②外気と接するか(開放式冷却塔・密閉式冷却塔)
形状による冷却塔の種類(角形冷却塔と丸形冷却塔)
まずは形状による違いで分けられます。
- 角形冷却塔:スクエア形状の冷却塔。現在、主流のタイプ。
- 丸形冷却塔:タンク型の冷却塔。構造が単純なので安く済む。
「角形冷却塔」とは?収まりが良く、現在主流の方式
現在主流となっているのが「角形冷却塔」です。

角形冷却塔は直方体の形状をしているタイプの冷却塔です。収まりがよいのが特徴で、複数台を連結することもできます。現在は角形冷却塔が採用される例が多くなっています。
側面に充填剤が装備されており、そこに冷却水を散水します。そして、側面のルーバーから風を吸い込み、流れ落ちる冷却水に風を当てて冷却します。

「丸形冷却塔」とは? 低価格だが、最近はあまり使われない
一方、従来多く採用されていたのが「丸形冷却塔」です。

丸形冷却塔は円柱状の形状をした冷却塔を指します。
内部には充填剤が詰め込まれており、内蔵されているスプリンクラーで冷却水を散水します。ファンで内部に気流を作り出し、流れ落ちる冷却水に風を当てて、気化熱で冷却します。
丸形冷却塔は50年以上の歴史があり、かつてはよく採用されていました。現在でも小型の水冷式設備に使われることがあります。

しかし、昨今では、より設計の柔軟性が高く、メンテナンス性に優れた「角形冷却塔」が主流となっており、丸形冷却塔が選ばれることは以前より少なくなっている印象です。
「開放式冷却塔」と「密閉式冷却塔」の違いは?
また、「冷却水が外気と接するか」という点でも分類されます。
- 開放式冷却塔:一般的な方式。冷却水に直接風を当てて冷やすタイプ。
- 密閉式冷却塔:冷却水を間接的に冷やすタイプ。冷却水自体には風を当てない。
ふつうは「開放式冷却塔」です。ときどき「密閉式冷却塔」が使われることがあります。
「開放式冷却塔」とは?冷却水に直接風を当てるタイプ
最も普及しているのが「開放式冷却塔」です。

とくに断りがない限り、冷却塔といえば「開放式冷却塔」を指します。
開放式冷却塔では、冷却水に直接風を当てて、冷却水を冷やします。ここまで解説してきた説明は、すべて開放式冷却塔の仕組みになります。
しかし、開放式冷却塔は、外の汚れた風を直接冷却水に当てるため、冷却水が汚染されやすいという問題があります。
「密閉式冷却塔」とは? 冷却水を間接的に冷やすタイプ
こうした問題を軽減するために開発されたのが「密閉式冷却塔」です。
密閉式冷却塔では、密閉された銅管の中に冷却水を通し、そこに水をかけ、風を当てて冷やします。
冷却水は直接外気とは触れません。このため、外の汚れた空気によって、冷却水が汚染されることを防ぐことができます。
冷却塔のおもなメーカーは?
冷却塔の代表的なメーカーとしては、以下の3社があります。
- 荏原冷熱システム株式会社(EBARA)
- 空研工業株式会社(KUKEN)
- 三菱ケミカルインフラテック「ヒシクーリングタワー」シリーズ
荏原冷熱システムは、冷却塔の代表的メーカーの一つです。ポンプ大手の「荏原製作所」のグループ会社でもあり、空調用から産業用まで幅広い冷却塔をラインナップしています。

空研工業も冷却塔の有名メーカーで、一般空調用の小型モデルから産業用の大型冷却塔まで、広いラインナップが特徴です。

三菱ケミカルインフラテックは、「ヒシクーリングタワー」が有名です。三菱ケミカルの丸型冷却塔はロングセラー商品の一つで、非常に長い歴史があります。

このほかにもさまざまなメーカーがあります。用途やコストを比較し、メーカーの選定をしてみてください。
まとめ
今回は「冷却塔」「クーリングタワー」について解説しました。
冷却塔は水冷式の機械に欠かせない設備の一つです。仕組みを勉強するときは「気化熱を使用している」という点をしっかりおさえておきましょう。
参考になれば幸いです!
【画像出典】荏原冷熱システム株式会社ホームページ、空研工業株式会社ホームページ、三菱ケミカルインフラテック株式会社ホームページ【参考文献】『イラストでわかる空調の技術』(1991年、中井多喜雄、木村芳子著)



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