GHP(ガスヒートポンプエアコン)ってなに?仕組みを分かりやすく解説します!

エアコンのしくみ

エアコンといえば、電気で動くイメージがある方が多いと思います。

しかし、世の中には電気ではなく、都市ガスやLPガスで動くエアコンもあります。

それが「ガスヒートポンプエアコン(GHP)」です!

今回は

  • ガスヒートポンプエアコンとはどのようなエアコンなのか?
  • どのようなメリットがあるのか?
  • どのような施設に向いているエアコンなのか?

などを解説していきます。

ガスヒートポンプエアコン(GHP)とは「ガスで動くエアコン」のこと!

ガスヒートポンプエアコン(GHP)とは、都市ガスやLPガスを燃料に動くエアコンのことです。

パナソニックとヤンマー製のガスヒートポンプエアコン

ガスヒートポンプエアコンには、”ガスエンジン(ガスで動くエンジン)”が室外機に内蔵されています。このエンジンで冷暖房をするエアコンが「ガスヒートポンプエアコン」です。

エアコン屋さん
エアコン屋さん

「ガスエンジンヒートポンプエアコン」と言ったほうが分かりやすいと思います。

「ガスエンジンヒートポンプエアコン」と言った方が分かりやすい

一般的なエアコンとの違いは?「何でコンプレッサーを回すか」

通常のエアコンとの違いはコンプレッサーを駆動させる動力です。

コンプレッサーの駆動燃料
一般的なエアコン
(EHP=電気式エアコン)
モーター電気
ガスヒートポンプエアコン
(GHP)
ガスエンジンLPガス・都市ガス

エアコンの室外機にはエアコンの心臓部であるコンプレッサーが搭載されています。エアコンは、コンプレッサーを回すことで冷熱(=冷たさのもと)や温熱(=暖かさのもと)を作り出しています。

一般的なエアコン(電気式エアコン=EHPともいう)は、モーターでコンプレッサーを回しますが、ガスヒートポンプエアコン(GHP)では、エンジンでコンプレッサーを回します。

使う燃料も異なります。当たり前ですが、一般的なエアコン(電気式エアコン)は電気を使います。一方、ガスヒートポンプエアコンはガスエンジンで駆動するため、LPガスや都市ガスを使います。

これが大きな違いです。

▼こちらが実際のガスヒートポンプエアコンの写真です。内部を透視するとこんな感じで、エンジンが搭載されています。

アイシン製の大きなガスヒートポンプエアコン

エンジンが内蔵されている分、大きいのが特徴です。また、エンジンのメンテナンスも必要となります。自動車と同じようにオイル交換もしなくてはなりません。

ガスヒートポンプエアコン室外機の内部は、カーエアコンとほとんど同じ構造になっています。ガスエンジンでコンプレッサーのベルトを回し、エアコンを稼働させています。

なぜガスヒートポンプエアコンを使う必要があるのか?

なぜわざわざガスヒートポンプエアコンを使う必要があるのでしょうか?

主な理由はGHPの「①消費電力の少なさ」と「②暖房能力の高さ」の2つです。

①ガスヒートポンプエアコンは「消費電力が少ない」

ガスヒートポンプエアコン最大のメリットは「消費電力の低さ」でしょう。

電気エアコンとガスヒートポンプエアコンの比較。電気式は消費電力が大きいため、キューピクルの設置が必要となるなどコストが大きくかかることがある。ガスヒートポンプエアコンは大がかりな電気工事が不要となり、コストカットできることがある。

エアコンの内部でもっとも電力を消費しているのは、「室外機のコンプレッサー」です。

コンプレッサーはエアコンに必要不可欠な部品ですが、圧縮を行うため、大量の電力を消費します。

車のエアコンを入れると、走りが少し重くなりますよね。

これはコンプレッサーの駆動に大量のパワーが消費されるためです。

ふつうはモーターでコンプレッサーを動かしますが、ガスヒートポンプエアコンではガスエンジンでコンプレッサーを回します。

モーターで回さない分、消費電力を大幅に下げることができます。

電気代だけじゃないエアコン消費電力削減が重要な理由

ガスヒートポンプエアコンの消費電力の少なさは、非常に大きなメリットを生み出します。

キュービクルなどの電気設備の軽減に役立つ

ビルや施設といった大規模な建築物では、電気の使用量が増えると、大型の変電設備を導入しなくてはならないことがあります。そして、この変電設備の導入には、想像を絶するほど莫大な費用がかかります。

空調は多くの電気を消費する設備であり、ガスヒートポンプエアコンで消費電力を下げることができると、必要な電気設備を減らせることがあります。

ガスヒートポンプエアコンの導入により、電気設備のコストを大幅にカットできることがあるのです。

電気の基本料金を下げることができる

電気の基本料金を下げることも期待できます。

基本料金は最大アンペア数で決まるため、電気式エアコンでは設置台数が増えるにつれて、高い基本料金を払わなければならなくなるのが一般的です。

しかし、ガスは従量料金の比率が高いため、エアコンの同時使用率と設置台数によっては、GHPのほうがコストカットできることがあります。(少し難しい話なので詳細は省略)

飲食店など、ガスのヘビーユーザーにも人気!

飲食店など普段からガスをたくさん使っているユーザーは、特別に安い単価でガスを契約していることがあります。

こうした特別の事情から、単価の安いガスを燃料にできるGHPが選ばれることがあります。

②ガスヒートポンプエアコンは「暖房に強い」

また、暖房性能が高いのもガスヒートポンプエアコンの特長です。

通常の電気エアコンでは、外気温の低下にともない、暖房性能が低下します。

しかし、ガスヒートポンプエアコンでは、エンジンの廃熱を活用することで、霜取りをなくしたり、極寒期でも安定した暖房を行うことができます。

このため、寒冷地では暖房性能を目的とし、ガスヒートポンプエアコンが選ばれることも少なくありません。

エアコンの暖房を使っていると、ときどき暖房が止まることがあると思います。

ガスヒートポンプエアコンはエンジンの廃熱を利用することで、ずっと暖房を継続することができます。

まとめ

今回はガスヒートポンプエアコンについてご紹介しました。

EHPとGHPのどちらがコスト的に優れているかは、専門業者によるシミュレーションが必要となります。ガスヒートポンプエアコンを検討される際は、お近くの工事業者などにお問い合わせいただくことをおすすめします。

ガスヒートポンプエアコン(GHP)の6大メーカーを一挙まとめ!

ガスヒートポンプエアコンの製造販売元はこちら

ガスヒートポンプエアコンのおもなメーカーは、以下の通りです。

  • ヤンマーエネルギーシステム株式会社
  • アイシン精機株式会社
  • パナソニック産機システムズ株式会社

また、室外機のOEM提供を受け、下記メーカーでもガスヒートポンプエアコンを販売しています。

  • ダイキン工業株式会社
  • 日立グローバルライフソリューションズ株式会社
  • 三菱重工サーマルシステムズ株式会社

このほか、かつてヤマハ発動機もGHPを販売していましたが、2000年に撤退しています。

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